第45話 西軍VS悪魔②
ジャッジ・ディシプリン。
彼は獣王国の従臣、ディシプリン家の3男のリザードマンとして生を受ける。
名家に生まれたとて、それが妾の子となればそれはもう扱いはひどいもので…。
物心つく頃には腹違いの二人の姉と兄に暴力を振るわれ、使用人達からも腫れ物扱いされていた。
唯一の優しい母はジャッジが5つの時に流行り病で亡くなった…とされているが、第一夫人に毒殺された。
それを知りつつジャッジに何もしない実の父。
幼少から心を閉ざすジャッジ。
ジャッジ7歳の時、第一夫人から家を追い出され、初めて見る外をさまよい、当然のごとく奴隷商に連れ攫われ商品として遥か遠くの人間の王国片隅にあるカマセー領と言うところに潜伏する『魔神の尻尾』という組織に実験材料として売られる。
ちなみに『バイオキマイラ』のリザードマン細胞はほぼほぼジャッジのものだったりする。
さて、転機が訪れたのは12の頃。
体を弄られ傷だらけの体を引きずりながら生きているのか死んでいるのかわからない生活が人族のモヒカン少年によって180度生活が変わる。
彼がスラムの『魔神の尻尾』をめちゃくちゃにしたお陰で5年ぶりに地上に出ることが出来たジャッジ。
2mあろう瓦礫を放り投げ、街々を粉砕していく破壊の権化がジャッジの目には神より尊い存在に見えた。
更にその『破壊のモヒカン』ことワキヤックは亜人を差別るどころか給金休日衣食住を与え、更に求めるものには無償で教育まで与えてくれる。
ボロボロの身体のジャッジも半年もすれば心身ともに回復し、ジャッジはカマセー家の兵士に志願する。
カマセー兵士の訓練は苛烈を極めるが、銭湯、食事が無料の上に清潔な個室の寝床まで支給される優遇、更に残業はほぼなし週休2日制という優遇っぷりにやる気しか湧かなかった。
そもそもワキヤックが教える技術や戦術論、魔法理論は王都の最先端のものより優れていると言われ、ワキヤックへの訓練志願者が後を絶たない状態となっていた。
1年も経つ頃には強者揃いのカマセー兵の中でも頭角を表すほど愚直なジャッジはアルという執事の少年と仲が良くなる。
どこか似たような境遇を互いに感じていたし、チーズが互いに大好物だったので自然に仲良くなった。
そんな生まれて初めての友達、アル少年を通して『モヒカンズ』という百戦錬磨の選ばれし集団を創る話をワリカンが思考しているという話を聞く。
考えるまでもなく志願するジャッジ。
この頃にはワキヤックに対して憧れより崇拝にまで達していた信仰心がワキヤックの役に立ちたいという衝動を抑えきれないのだ。
結果で言えば10人の精鋭の中に選ばれることは出来たのだが…
「こんな面白いリザードマン、わしは知らんかったぞガハハハハ!!」
「ごめんさないねぇ、私も大いなる食の神、ワキヤック様のお役にたちたいのですので〜」
白銀の狼男とボンテージエルフババアに惨敗、他を圧倒する実力に手も足も出すことが出来ず、生まれて初めて雪辱に涙を流した。
感情をほぼ表出ださないそんあジャッジをみたアルは驚きとともにコレをワキヤックに相談。
翌日ワキヤックにワンツーマンで指導を受けられるようになったジャッジ。
「お前は特別やる気があるから、教える方も気合はいるぜ!」
その日よりワキヤックの変態修練に必死についていくジャッジ。
兵士次代より遥かに辛かったが充実していた。
今カマセー領で最も成長しているのが彼である。
そして今悪魔との実戦で今までの努力が実を結ぶ―――
――――――――――――
「ぐあああッッ!!?知らぬ!コレほどの強者がなぜ無名だったのだ!!」
ナイトメアは焦っていた。
上空で有利な地形と思っていた戦局での戦闘。
しかし蓋を開けてみれば360°縦横無尽に駆け回るリザードマン。
弓を放つも容易く避け、あまつさえ3m以上の間合いを一瞬で詰め強烈な打撃を与えてはまた3m離れるヒット・アンド・アウェイ。
「ぼへぇッ!!……ぐぐ、貴様……」
「俺、ジャッジ」
「ぐぬぬ…ジャッジよ、見事だ。貴様の名は生涯我、ナイトメアは魂に刻もう―――【ディメンションアロー】」
無数の矢が雨あられとジャッジを襲うが全てを紙一重で避ける。
「ワキヤック様よく言う、同じ手は通じ…?」
ナイトメアは【ディメンションアロー】を放った後一目散に後方へ逃げていた。
そして―――
「“ヨセンゲツハニココテッモンゲンケノンジマ ヨラカチノンヘフシレズハヲリワトコ”―――【エンドレスディザスター】」
原初魔法を唱え終えたナイトメアの備える大弓の矢は虹色の魔力体を帯びている。
放たれた瞬間起こる
。
空間湾曲が起きる魔力の圧に
「【魔装】」
魔装で備えるジャッジ、しかし
パァン!
避けきれず左足が吹き飛んだジャッジ。
「グルル…(アレに当たるのは危険だ)【活性治癒】」
スキル【活性治癒】により、自己再生をして左足が生え変わる。
後方から更に追尾するしてくる先程の矢。
「【エンドレスディザスター】が一度放たれれば相手が死ぬまで追い続けるだろう―――勝負あった」
勝利の確信をして不敵に笑うナイトメア、
「術者が生きていれば、の話―――〈
みんな大好きスキルの定番縮地。
しかしコレは実理なので体を前方に体重を倒し最少の地接による最少の居付きを可能にし最速で最高速に達する。
いわゆるスーパースタートダッシュ。
なので最高速に到達したら普通に走ったほうが早い。
コレを〈風踏〉に応用して利用する事によって、ナイトメアの反応速度と【エンドレスディザスター】の速度を上回る速度でナイトメアの背後を取る。
「ぬわぁっ!しまっ―――だが【絶対防御】、その場から動けなくなる代わりにどんな攻撃をも受け付けなくなる魔神の加護を受けた最高防御のスキルだ―――ん?」
スキル【絶対防御】により【魔装】を纏ったジャッジの手刀打ち下ろしで傷がつかないどころかジャッジの腕が骨折した。
なのでジャッジは尻尾や足を使って羽交い締め。
ガッチリナイトメアを抑え込む。
その前方からは【エンドレスディザスター】を纏ってジャッジを追いかけてくる矢。
何かに感づいて汗が滝のように出るナイトメア。
「待て!離れろ!離れろーーー!!」
「グギ…」
ナイトメアとジャッジを貫く一筋の矢。
互いに腹部に穴が開くのだが
「【活性治癒】」
スキルによって綺麗に治るジャッジに対して―――
「こんな…馬鹿な……」
腹部にある魔石をかすめたことによって原初魔法は解け落下していくナイトメア。
落下の合間にジャッジは腹部の魔石に目星をつけたジャッジは魔石に一直線。
「ぜ、【絶対防御】!!」
「【稲妻貫手】」
右手に集中した魔力の性質を変え雷鳴を纏った【雷性質魔装】。
稲妻によって切れ味と速度が強化された研ぎ澄まされた貫手【稲妻貫手】。
リザードマン特有の強固な鱗が重なり、先程弾かれた強度を凌駕した―――
「ぐがぁ!だぁああああ!!」
魔石が切られ黒い霧となってナイトメアは蒸発した。
ナイトメアの消滅を確認した瞬間に、すぐさまアルベルトの元へ急行するジャッジ。
強大な魔力のぶつかり合う元に向かうその途中―――
[おぉおおおおおすぅぅうう!]
漆黒のオカッパメガネ巨人が後方から手刀回し打ち。
普通ならば避けられるのだが―――
「(早い!?これはまるでワキヤック様―――)」
【魔装】で全力防御して後方8km地点にある大山に突き刺さりそのまま気を失うジャッジ。
オカッパ巨人は導かれるようにアルベルトとディアブロの元へ―――と、そこに。
「でっけー!クソデカガンス!!」
ワキヤックが鉢会う。
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