第38話 辺境大連合VS王国軍②
「ど、どうなっておる!?辺境の猿どもめぇ!!」
一方その頃、王都では教会やら中央貴族やらがやんややんやしている。
教会の法王は先日のモヒカンの事で
宣戦布告。
それも辺境の地全土から。
さらにその総大将はアルベルト・ホウオウで正当性マシマシ。
更に更に中央貴族でも武力を持っているガーリック公爵を始めとした貴族は今回の戦争に参加しないそうだ。
ガーリック公爵は最愛の愛娘が居るので拉致して脅そうとしたら、すでにあのモヒカンに捕まっているらしい。
王都に残っているのは声だけの貴族と、戦争を知らない王族達のみ。
「くっそがぁあああ!!くそっ!くそーー!!はぁはぁ、聖女は、大魔導士はどうした!?」
部下に怒鳴り散らす法王。
「はっ、聖女様は辺境の地へすでにガーリック公爵ら貴族たちとと和平を相談にウエスト領に向かっております。時間を稼ぐからその間に敵に備えてほしいとの事です。ちなみに教会騎士も聖女様について行かれました」
「ふん、最低限は働いてもらわねばな!では大魔導士サムディ殿は」
「先日の集団魔法で腰を痛めたらしく、療養中です…」
「あのクソジジイがぁあああああ!!」
「お前もな!」と言いたい部下たちは唇をぐっと噛み締め、貴族や王族に戦争への備えを促してみたものの…
「ふん、私が出るまでもない!貴様がやれ!」
「騎士をわたくしに付けなさい愚か者!」
「女神がこの僕を見捨てるはずがない!」
などの全く役に立たない無駄な時間を過ごすばかりであった。
頼みの綱のイザベラ王妃も
「とにかく全員で王国を守りなさい!」
などと言うだけ、バカ息子のロバートは
「へっ俺様一人で無双してやる!ぐははは!!」
と言うだけ。
無能で知られるフリードは【ハルマゲドン】なき今いても居なくても一緒。
最早破滅は時間の問題だろう。
「もう…終わりじゃな。お前らよく聞くのだ。これから教会は―――」
「逃げる事は許さん!」
ふと法王の後ろから凍てつくような美しい男の声が聞こえた。
法王は恐る恐る振り返るとそこには頭から角を生やし、翼の生えた漆黒の男女11人が法王を見下している。
法王デュボア・フランシスは頭を垂れる。
「最高位悪魔ディアブロ様〜」
「私が邪魔者をすべて消したお陰で貴様のようなグズが頂点に立つことが出来たのだろう?」
「さ、左様で…へへへ?」
「契約は覚えているか?」
「それは!?……いやぁ何でしたかな?もう20年も昔のことで…」
「この王都には偉大なるガランスサタン様の御首が封印されている。この王都から逃れることは許さん。貴様がガランス様の御首を王都から探し出しその首を我々に差し出す。代わりに我らは貴様を教会のトップにしてやった。つまり我らは貴様様な虫にさえ代償を払ってやっているのだ…それを―――」
ディアブロは法王の首を締め持ち上げる。
その際に契約印のルーンを引きずり出す。
「や、やめ―――」
「逃げてもその印に殺される。貴様も代償を払え!死ぬ気でこの地を奴らから守るのだ!」
強く突き放すと、法王は地べたを這いつくばる。
「デイビア!御方の御身は揃っているか?」
「ええ、首以外は揃ったわよ。モレクちゃんが逃したカワイーソンの部位を含めてね♡」
淫猥な体つきと鋭い眼光、横に伸びた角の女悪魔デイビアと呼ばれた悪魔。
サキュバスデーモンのデービアはモレクにウインク。
牛顔の悪魔モレクは渋い顔して俯く。
「魔神様の部位を各自取り込め、全勢力をもってこの王国を踏み台にして我々悪魔が世界を牛耳る。そしてガランスサタン様にもう一度、もう一度降臨していただくのだ!!」
――――――――――――
数百年も昔、まだスキルなどというものは存在しなかった頃。
魔神ガランスサタンと女神パーマディーテはこの星の心臓とされる魔石、『
二人ともなぜ戦っているか解っていはいない。
まだ若いこの星の覇者となる者を更なる上位存在に矯正させられたのか、本能なのか?
そんな戦いの最中、魔神ガランスサタンの右腕ディアブロから最悪の知らせが届く。
「魔神様!四神共が裏切り、女神につきました!」
[なんだって!?これは困ったがんす…]
「我々悪魔にお任せください。すぐにでも連中を血の海にして―――」
[ディアブロ、よく聞くがんす。四神がこちらに居た状態で均衡だった争いが向こうについた時点でどうしようも無いがんす。ぶっちゃけこの争いの勝敗よりお前やデイビアが無事で居てくれたほうが嬉しいがんす]
「何をおっしゃりますか!?我々は貴方様の道具であります。どうぞお好きに使ってくださいませ!」
[うーむ…少し難しい事を言うがんす。命令だぞディアブロ、オイラが負けた後は好きに生きろがんす]
「な、何を……?」
[これからオイラは降伏するがんす。代わりにお前達を見逃して貰う予定がんす。先程の好きにしろと言うのは、復讐をしようとのんびりスローライフしようと構わないという意味がんす。この星型ダンジョン『エレメントドア』は奴らの手に渡ろうともダンジョンコアで生み出した様々な生き物が平和に暮らしたらいいがんす]
「ば、馬鹿な!?そんな馬鹿なことを!!この星は貴方様が創られたものだ!この星を侵略する女神や同じダンジョンコアから生まれた四神が好きに使っていいものではない!」
[うーん、元はオイラがこの世界に来たときパーマディーテに転生特典としてもらったダンジョンだったがんす。それを返す時が来たがんすよ。でも…数百年も一緒に居たらなかなか返せなかったがんす…そのせいでお前たちにも戦わせて本当に申し訳なかったがんす]
「お止めください!我々は【ダンジョンコア】のよってガランス様に創られた道具です!頭を下げるなどと!」
[できれば復讐とかそんな事に労力をかけるのはやめて寿命を全うしてほしいがんす。―――サヨナラなのだ…愛しい子供たち、がんす―――]
「パーマディーテ…貴様、ガランス様をこんな…こんな仕打ちをするのか?」
ディアブロが見たのは体を7つ切断して特殊な氷のようなもので封印された主の姿だった。
「仕方がないのです!私だってコヤマに好きにさせてあげたかったけど大きくなりすぎたのよ!これ以上は上級神達にも届きかねない力を有してしまう…だからこうして封印を―――」
「よく解った…貴様が敵であることを!主様の優しさを裏切らねばならぬことを!!」
そして数百年の間に女神と四神は{スキル}などという奴らに特殊な隷従のルーンによって生命力がつながることにより特殊な力を特殊な力を得るシステムを開発していた。知らず知らずに寿命を取られるものだとも知らずに…。才能だという馬鹿が増えてきた頃、魔神様こそが創造主であることも知らない愚か者どもが女神なぞを信仰し始めた。
「(この
ディアブロの憎悪の沼は今、創造神ガランスサタンの首が眠るこの地ホウオウ王国より湧き出ようとしていた……
――――――――――――
「ぶえっくしっ!!」
「おいおい大丈夫かガンス?」
「風邪か噂がんすかね?」
「お前も【ガランス】の狙撃手なんだから体調気をつけろよ!」
「押忍がんす!」
「しっかし、さっきのくしゃみ、俺の昔の親友に似てたよな〜。ま、ガンで死んじまったけどな〜本当にいいやつだったよ……って、子供の俺が昔の親友なんて言っても意味がわかんねぇかぁ」
「え!?おぼ……ごほんっ、その親友ってどんな人だったがんすワッキー?」
「ん?俺の武術の先生である小山師範代の息子の
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