原石選び

遲?幕邏咎哩

怪奇!謎のお姉さんX!!

 部活帰りの夕方、剛力宝ゴウリキ・タカラ十六歳は公園のベンチに腰掛けてコンビニで買った肉まんを食べていた。


「少年!好きな女の人のタイプは何なの!?」


 


「……不審者?」

「違うの!私は……秋月千夏!謎のお姉さんXなの!」

「不審者じゃないですか!?」


 口では不審者と言いながらも剛力少年は秋月千夏に心を開き初めていた。


「……少年、いやもうたーちゃんでいいか。たーちゃんのクラスには君のことが好きそうな少女が……三人いる!?」


 秋月千夏は何らかの能力でここまでの少年の人間関係を把握した。


「たーちゃん平均値を超えるモテ……次の世界に行くの!じゃあねたーちゃん。誕生日おめでとう!」


 秋月千夏はそう言うと他の平行世界に【移動】していた。

 秋月千夏は、謎のお姉さんとしてたーちゃんの心を侵略し、たーちゃんの妻の枠に入り込もうとしていた。

 幾億の平行世界の中では、剛力宝もその妻も変動する。

 できるだけ最小の労力で、剛力宝の心を掴む。


 謎のお姉さんXとして!


「何だったんだ今の……」


 秋月千夏が居たはずの場所には綺麗にラッピングされた小箱に入った手袋が入っていた。いずれ剛力宝が【硬化】の能力を得たときにこの手袋は役に立つだろう。秋月千夏が集めた能力を使い作られた【硬化】の影響を受けない手袋なのだから。








 

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