どんな結果になろうとも、祥子はもう覚悟は出来ていた。


それよりも、こうして啓一とまた話せる事が嬉しかった。




もしも別れの言葉でも、笑顔で頑張ってと見送るつもりだった。


もしも謝罪の言葉なら、また啓一の胸に飛び込むつもりだった。




どちらにせよ、祥子の中では区切りの意味を持っていた。


そして、後ろのほうから足音が聞こえる。




「啓一?」




祥子はブランコから立ち上がって振り返る。


薄暗い道でもはっきりと分かる。




まっすぐ向かってくるのは啓一だった。




「久しぶり」




祥子の前に現れた啓一は、とても穏やかな表情だった。


雑誌やテレビで見た大人びた啓一とは違う。




祥子が良く知っている啓一の姿だった。




「久しぶり」




祥子もそんな啓一を笑顔で迎えた。

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