冷めた声で、祥子は啓一に言葉を返す。




「あのさ、明日の夜少し時間があって地元に戻るんだけど、会えないかな?」




祥子は少し驚いた。


啓一の気持ちの真意は分からないが、啓一の誘いに心は躍ってしまう。




「分かった」




祥子はそんな啓一の申し入れを受け入れた。


久しぶりに会う啓一。




別れ話なのか。


謝罪なのか。




それは祥子には分からなかったが、もう連絡も来ないと思っていた啓一の誘いは、素直に嬉しかった。


一度は殺したいほど憎んだのに、やっぱり心から憎んではいなかった。




自分の中に啓一への思いが残っていた事を確認する。


待ち合わせの時間。




祥子は少し早い時間にその場所に行った。


そこは二人で良く話した公園。




祥子はいつものように四つあるブランコの一番右に座った。


もう少しで啓一に会える。

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