啓一との日々も、いつしか笑って話せる日が来るだろう。


そう思いながら、自分の失恋を納得させた。




今まではずっと啓一と一緒だった祥子は、やっと一人で自分の道を歩む事を決意した。


そして祥子は忙しい日々を送る。




今まであまり勉強もしてこなかった祥子は、進学の為に必死に勉強をした。


現実を見つめ、努力する日々は祥子に充実感をもたらしていた。




そして、あっという間に受験の日が迫る。


失恋を忘れるかのように、必死に勉強した日々。




短い期間でも、努力の成果が試される日。


祥子の緊張はいやおうにも高まる。




最後の追い込みをしている祥子。


そんな時だった。




見慣れた電話番号から連絡が入る。


それは啓一の番号だった。




「なんでいまさら?」




祥子は一瞬迷ったが、その電話に出た。




「もしもし……」




祥子は緊張しながら電話に出た。


電話の先では、聞きなれた声が聞こえた。




「祥子か?久しぶり。元気だったか?」




電話から聞こえてくる啓一の声は、穏やかなものだった。


しかし、そんな啓一の態度を、祥子は素直に答える事が出来なかった。




「何?」

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