11

「おう、受かっちまった」




啓一の静かな声だった。


祥子は一瞬状況を把握出来なかった。




「えっ?どう言う事?」




祥子は啓一に聞き返した。




「だから、これから最終選考だよ」




祥子はやっと状況を把握した。


携帯を放り投げて、部屋で大声を出して喜んだ。




今までの緊張が一気に開放された。




「祥子?おおい。祥子?」




慌てて祥子は携帯を手に取った。




「ごめんごめん。良かったね。頑張ってね」




祥子は自分の夢も叶ったような気になっていた。


アンナからのアドバイスもすっかり忘れていた。




そこから啓一の生活も変わっていく。


新学期も始まる頃だったが、テレビに出る事が話題になり、田舎の町の有名人になっていた。




最初は祥子も鼻が高かったが、また新しい孤独感が祥子を襲っていた。


早速啓一は最終選考の合宿に参加し、ほとんど連絡が取れなくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る