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「連絡、待ってるね」
祥子は出来る限りの笑顔で、啓一を見送った。
このオーディションに合格すれば、テレビの放送もある最終選考に突入する。
とても狭き門だが、チャンスを掴むと言う事はそう言う事。
電車が見えなくなるまで、祥子は啓一に手を振った。
今自分に出来る事はこれだけ。
だから精一杯啓一の合格を願った。
今はまだ自分の未来は見えないが、今はこれが一番大切。
祥子はそう自分に言い聞かせた。
夕方には結果が啓一から連絡がはいるはず。
祥子はなかなか落ちつく事が出来ず、町にある小さな神社にお祈りに行った。
どうか啓一の夢がまだ終わらないように。
祥子は家に帰っても、自分の部屋にこもっていた。
じっと携帯を眺めながら、いつ鳴ってもすぐに出られるようにしていた。
ふと時計を眺めると、すでに夕方の6時を回っていた。
「そろそろかなぁ……」
部屋で祥子がそうつぶやいた時だった、聞きなれた着メロが流れる。
「もしもし、啓一?」
飛びつくように携帯に出た祥子。
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