「にがい……」




「まだ高校生にブラックは早いかしら?」




アンナはまた優しい顔で祥子を見つめる。




「アンナさん」




「何?」




祥子は涙をふいて、アンナに相談を始めた。


アンナも黙って祥子の話を聞いた。




「私、啓一の応援をする事が幸せだったんです。でも今は何も出来なくて。それに、これからどうなってしまうのか不安で……」




祥子は、必死にアンナに話した。


上手くは話せないけれど、自分の中にある思いをひとつひとつぶつけていった。




アンナはゆっくり祥子の気持ちを受け止める。




「祥子ちゃん、あなたの夢は何?」




「えっ?」




アンナはそんな祥子にひとつの質問をした。


とても単純な質問。




しかし、祥子はすぐに答えられなかった。


自分の夢、それは今の祥子には分からなくなっていたからだ。




「まだ分からないのね」

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