6
アンナはカウンターを挟んで祥子の前に立った。
優しい表情で、祥子に問いかける。
「そんな事は……」
祥子はなんだか、アンナの目が自分を見透かしているようで、うつむいてしまった。
「プレッシャーに押しつぶされそうな啓一君。彼を支えられなくなった彼女。そんなとこかしら?」
アンナはカウンターに肘をついて、祥子の顔を覗き込んだ。
祥子もそんなアンナとゆっくりと視線を合わせる。
「こんな時なのに、私は……」
祥子はゆっくりと話し始めたが、上手く説明できなかった。
たくさんの感情が入り混じって、言葉が出てこなかった。
「あせらなくて良い、ゆっくりで良いのよ」
アンナは、そんな祥子の頭を優しくなでた。
純粋な思いに悩み、爆発しそうな感情を必死に押さえ込んでいる少女を、アンナは放っておけなかった。
言葉が詰まった祥子は、うつむいたまま涙を流していた。
アンナは寂しい顔をして、そんな祥子を見つめる。
「コーヒが入ったわよ。どうぞ」
アンナは祥子にコーヒー差し出す。
祥子は軽くうなずいて、ブラックのままのコーヒーを一気に飲み込んだ。
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