3
母親は心配そうな顔で祥子に話を続ける。
「分かってるよ。もういらない」
祥子はそんな母親から逃げるように、自分の部屋に戻った。
ベッドに横になって天井を見つめる。
横に置いてある携帯を見ても、何も受信していない。
いつもなら何かしら啓一との予定があるのに、今日は連絡もしていない。
何となく一人でいられない気分になった祥子。
目的はないが、祥子は着替えを始めた。
啓一とのペアリング。
一緒に買ったネックレス。
机の上に飾られた二人の写真。
部屋をゆっくりと眺めると、そこには啓一との思い出が詰まっていた。
幼い頃からの写真。
コルクボードに貼られた写真には、二人の笑顔があった。
しかし、今の祥子にはそんな姿も遠い記憶に感じた。
今は、写真の中の啓一を見るのもなんだか辛かった。
「行って来ます」
祥子は行き先を決めないまま、家を出た。
生まれた時から住んでいる町。
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