祥子はリビングのソファーに座った。


ついていたテレビを眺めても、興味も持てないワイドショーがだらだらと流されている。




「あっためただけだけど」




そう言って、母親が朝食のあまりをテーブルに持ってきた。




「ありがとう」




祥子はそれを食べだした。


そんな祥子の反対側に母親が座った。




「祥子、あなた進路はどうするの?もう夏休みも終わりよ?」




今までは何も言わなかった母親でさえ、夏休みに入ってからは顔を合わせるごとに進路の事を聞いてくる。




「一応考えてるよ」




そんな母親に対して、祥子は素っ気無い態度で毎回答えていた。


自分の進路の事は、実際考えたこともなかった祥子。




望んでいた未来は、啓一と一緒にいる事。


人生設計は啓一との結婚。




それしかなかった。


そんなかわいい夢も、現実は薄れさせていく。




「夏休みが終わったら、もう受験だ就職活動だって始まるのよ?三者面談もあるんだし……」

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