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「祥子、俺……がんばるよ」
別れ際、啓一は精一杯の強がりを祥子に投げかけた。
「うん。応援してるからね」
啓一は、祥子の目を見ず、家に向かった。
祥子はそんな啓一の後姿を、見えなくなるまで見送った。
いつも大きく見えていた啓一の背中が、なんだかとても小さく見えていた。
一番啓一を信じていたい思いなのに、なぜかダメかもしれない、そんな思いが祥子によぎる。
ずっと応援してきた啓一の夢。
それが終わろうとしている。
それは同時に、一緒に歩いてきた祥子の夢も終わる事をあらわしている。
この先どうなってしまうのだろう。
祥子にもそんな不安がよぎっていた。
どこかで信じていたのだ。
いつか啓一がプロになって、自分がそれを支える。
そんな夢が当たり前に叶う事を、約束された未来だと信じていた。
しかし、現実はそれが夢だったのだと再認識させる。
啓一の夢が終わった後の自分。
その後の啓一。
今の祥子にはまったく想像する事が出来なかった。
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