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重苦しい雰囲気が、受付の中に広がる。
緊張が全員に伝わるようだった。
スタジオには色々な思いで通うアーティストがいる。
ただ音楽を楽しむ者。
プロを目指し必死に練習する者。
そして、夢の終わりを突きつけられる者。
啓一はどこかで分かっている。
プロになりたいと言う夢が、本当に夢だと言う事を。
真剣にやればやるほど、自分の事が分かってきてしまう。
プロを目指すと言いながらも、それが口先だけになってきていた時期も自覚している。
焦った頃にはもう遅い。
時間は永遠では無く、限られている。
自分に費やした時間は、必ず自分に返ってくる。
今の自信の無さは、そんな過去の自分の存在が大きい。
もっとこうしていれば。
もっと真剣にやっていれば。
そんな思いだけが啓一を支配していく。
いつまでも続くと思った時間も、終わりはどんどん近づいてくる。
逃げ出したい気持ち。
もう辞めてしまいたい気持ち。
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