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練習の時間は2時間。
微かにもれる音を、アンナと蓮はじっと聞いている。
アンナが入れたコーヒーは、ほとんど減らず、二人の前で冷めていく。
ガチャ。
2時間が過ぎ、スタジオから祥子と啓一が出てくる。
あまり良い顔はしていない。
ただ楽しんでいる音楽なら、練習も遊びの延長で出来る。
しかし、音楽をやめなければいけないかもしれない。
そんな思いが、啓一から楽しさを忘れさせていた。
その感情が、いつも一緒にいる祥子にも伝わる。
来た時にはあれだけ元気だった祥子も、練習が終わった後は暗い顔をしていた。
「どうしたの二人とも?もうすぐ勝負の時なんだから、若さでぶち当たりなさい」
アンナは満面の笑顔で、二人を励ます。
練習が終わった後の二人に、アンナはアイスコーヒーをさしだした。
「これは私からのサービスだよ。飲みなさい」
『ありがとうございます』
二人はアンナにお礼を言い、アイスコーヒーを飲んだ。
会話は弾まず、四人とも黙ったまま、コーヒーを飲んでいた。
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