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「こんにちは祥子ちゃん、啓一大丈夫か?」
啓一は蓮にまで心配されてしまう。
「蓮さんまで……、大丈夫ですよ」
蓮は軽く笑いながら、スタジオのドアを開けた。
明後日はオーディション本番。
啓一にも、スタジオを前にして少し緊張の顔がうかがえる。
その後を追って、祥子もスタジオに入っていった。
「蓮、どうだい二人は?」
蓮が受付の所に戻ってくると、アンナが声をかける。
「まぁ、普通に仲の良いカップルに見えるけどね」
「そうなんだよねぇ。しかし、実際はどうなのか分からないもんだねぇ」
アンナはさっきの明るい表情とは違い、少し真剣な顔でスタジオのドアを見つめる。
「アンナ、あんまり深入りするなよ。どこにでもいる高校生カップルだ」
「分かっているよ。分かっているけどねぇ。健気な女の子を見てるとついねぇ」
アンナは悲しそうな目をする。
蓮はそんなアンナを見慣れているのか、視線を逸らした。
スタジオの中からは、あまり良い音は聞こえてこない。
チューニングをするような音が時より聞こえるだけ。
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