「こんにちはぁ」




「あっ祥子ちゃん、啓一はまだ寝てるわよ?何か約束?」




祥子が啓一の家に到着すると、啓一の母が出迎えてくれた。


相変わらず、約束の時間だと言うのに、啓一は寝ていた。




しかし、祥子は特に驚いたりはしない。


啓一の寝坊は、小さい頃から慣れている。




「まぁそうなんですけど、起こしてきますね」




祥子は慣れたように、啓一の部屋に向かう。


ドアを開けると、部屋は真っ暗だった。




「啓一、啓一。もう時間だよ。早く起きて」




祥子の呼びかけに、啓一は反応しない。


布団の中ですやすや寝ている。




「まったく。大切な日なのに……」




祥子は軽くため息をつく。


次の瞬間、祥子は一気に足を振り上げた。




「しゃぁ」




眠っている啓一の布団に、祥子のかかとが突き刺さる。




「痛えぇ」




啓一が布団の中で悶えた。


苦痛に歪んだ顔で、ゆっくりと布団から起き上がる。

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