5
心を躍らせながら、祥子はその道の前に立つ。
いつもはほとんど誰も通らない道。
しかし、見慣れない人影が見える。
長い綺麗な髪をした少女。
不思議な雰囲気をかもし出していた。
急いでいた祥子も、なぜかその女の子の雰囲気に思わず立ち止まってしまった。
そんな祥子に何の反応もせず、少女はすぐ隣を通り過ぎていく。
チリン。
少女の腕についた鈴が静かになる。
「こんにちは」
突然少女が祥子に声をかける。
「あっこんにちは」
見た事も無い女の子。
祥子の地域ではあまり見ないセーラー服。
特に笑顔を見せるわけでもなく、冷めた表情で祥子を見つめる。
祥子はなぜかその視線から目を離す事が出来なかった。
「また、どこかで会うかもね」
「えっ?」
少女はその一言を残し、祥子の隣を立ち去っていった。
「ねぇ、それどう言う事?」
祥子は立ち去る少女に声をかけたが、少女はまったく反応せず、そのまま祥子の前から消えていった。
不思議な事を言う少女に、祥子は不安になったが、後を追う事は出来なかった。
祥子は不思議な少女の言葉に、不安を感じながらも、気を取り直して啓一の家に向かった。
その少女が何者なのか、その真相は分からないまま。
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