心を躍らせながら、祥子はその道の前に立つ。


いつもはほとんど誰も通らない道。




しかし、見慣れない人影が見える。


長い綺麗な髪をした少女。




不思議な雰囲気をかもし出していた。


急いでいた祥子も、なぜかその女の子の雰囲気に思わず立ち止まってしまった。




そんな祥子に何の反応もせず、少女はすぐ隣を通り過ぎていく。




チリン。




少女の腕についた鈴が静かになる。




「こんにちは」




突然少女が祥子に声をかける。




「あっこんにちは」




見た事も無い女の子。


祥子の地域ではあまり見ないセーラー服。




特に笑顔を見せるわけでもなく、冷めた表情で祥子を見つめる。


祥子はなぜかその視線から目を離す事が出来なかった。




「また、どこかで会うかもね」




「えっ?」




少女はその一言を残し、祥子の隣を立ち去っていった。




「ねぇ、それどう言う事?」




祥子は立ち去る少女に声をかけたが、少女はまったく反応せず、そのまま祥子の前から消えていった。


不思議な事を言う少女に、祥子は不安になったが、後を追う事は出来なかった。




祥子は不思議な少女の言葉に、不安を感じながらも、気を取り直して啓一の家に向かった。


その少女が何者なのか、その真相は分からないまま。

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