5話 神とは
「待って下さーい…!」
「なんだ、結局冬鷺は来なかったのか。」
つまらなそうに靈空は言う。飛ぶ速度を少し落としながら。
「あ、はい…ご自宅に帰られたようです。」
「ちぇっ…まあいいや。アイツと私とリエラがいれば十分だ!」
2人横に並び、森の上を飛行していく。青い空に翠と白の輝く髪が靡いて。
「どこに向かっているんですか?」
「人外達に身近な神社だ。山にもあるが…まあこっちの方が信頼度が高い。」
「神頼み…とは違うんですよね?」
「神に会いに行くんだ。アイツは神だからな。」
「天界外の神様…」
「そういう奴らに会うのは初めてか?」
「はい。天界外の方が多く神様が居るのは知っていますが天界から出たことが無いので。」
「そっか。じゃあ早く行こうぜ!」
キラキラと目を光らせたマ女は空を翔り、天使の手を引き速度を上げた。
「彼女達はそろそろ神社に着いたころかな。まあ、僕にはもう関係の無いことだ。」
冬鷺は我が屋に戻り、本を開いていた。
キィと扉が音を鳴らし、入店者が声を放つ。
「何か、あったのかしら?」
「あぁ、いらっしゃい。まああったと言えばあったし終わったと言えば終わった、かな。」
「はっきりしないのね。」
「それより今日は何が入り用かな?」
「そうね、珍しくて…なおかつ強い物。あります?」
「そりゃまた難解な…」
「到着っと。」
「凄い…とても神秘的な神社。」
「おーい!來命ー!いるかー?」
所々穴の空いた襖がさっと開き、紅白の装束に包まれた黄金の
「そんなに大きな声出さなくても聞こえるわよ。それで?何の用なの靈空。あら?」
「はぁー…本当に神様だ…」
「誰?その子。この辺の子じゃないわね。」
「まあまあ、立ち話もなんだから中に入れてくれよ。色々あるんだぜ。」
「…とまあそんなところだ。」
「天界がねえ。俄には信じがたいけど…」
「嘘は申しません。私がこの目で見て体験したことの全てをお伝えしました。」
「あー、別に疑ってる訳じゃあないのよ。ただ黒幕はなんのためにそんなことするのかなって。」
茶を片手に、煎餅を齧りながら靈空は言う。
「そりゃもちろん、「天界が地上を支配する」的なことだろ!」
「何勝手に食べてんのよ。またそのパターンなら楽なんだけどね。」
「香琴にも相談したが付き合ってはくれないようだ。朴念仁め。」
「あの人はいつもそうでしょ?もっと直接的に行かないと。」
何はともあれ、と來命が立ち上がる。
「装備を調えに香琴堂に行くわよ。」
「よっしゃ!」
「ああ、私の自己紹介がまだだったわね。今更だけど。」
「いえ、お気になさらず…」
「私は
「十六華様。お力添え感謝します。」
「あ、靈空と同じ対応で構わないわよ。そんな大層な神じゃないしね。」
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