第50話



「神無、本当の事だ。」


「っっ、」



神無の目から、涙が零れ落ちる。










痛い、な。





神無の涙は、俺の胸を締め付けさせる。




「直ぐに、俺も莉茉さんが運ばれた病院に向かわないと。」




涙を溜めた神無の目尻をそっと拭って、俺はその場から立ち上がった。












動揺するのは、一瞬で良い。






揺らいだままでは、いられないから。




「神無?」




俺は、神無を見下ろす。




「神無は、どうする?」


「………どう…?」




戸惑った表情の神無が、すがるような眼差しを向けて、俺を見上げた。

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