第49話



「………神無。」


「うん?」


「………っっ、莉茉さんが刺されて、病院に運ばれたらしい。」




胸が苦しい。







………っっ、兄貴。












窓の外では、



相変わらずの、激しいどしゃ降りの雨。










この先の未来を指し示しているかのように、俺達に暗い雨雲を運んで来た。





「………………え?」


「………。」




俺の腕の中で、身体を震わせた神無の肩から、自分の顔を持ち上げる。





「………………っっ、う、そ…。」



「………。」



「………ねぇ、嘘でしょう?」




俺にすがり付いた神無が、顔を悲痛に歪ませて、その目に涙を溜めた。

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