第31話



「………神無は、雨は嫌い?」


「ううん。」




首を横に振った私は、朔くんに淡く微笑む。




「私、雨は好きよ?」




あの広い家に1人でいた頃から、降り頻る雨の音が好きだった。







静まり返った部屋の中で、それが唯一、私の孤独感を紛らわせてくれたから。







一人ぼっちじゃないんだって。







雨は、寂しさを癒してくれた。











私にとっての、子守唄。




「雨の音って、一人ぼっちじゃないって、慰めてくれているみたいじゃない?」


「………、神無…。」




言葉を詰まらせた朔くんに、私は小さく笑って、その胸に凭れ掛かった。

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