第30話



「………神無?」




ずっと黙ったままの私の顔を、不思議そうな表情を浮かべた朔くんが覗き込む。




「大丈夫、か?」


「あ、うん。」




………………あぁ、心配を掛けてしまった。






苦笑混じりの笑みが零れ落ちる。




「ごめんね、なんだか、ぼーとしちゃってた。」


「………何か、考え事?」


「………、う、ん、そうなのかな?」




分からない。





自分の事なのに、何1つ。




「…………ただ、雨のせいかな?」


「うん?」


「何だか、胸がざわつくの。」




言い様のない、この私の気持ちは、何なのか。

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