第12話




「っ、た、だいま。」




声が、震える。







笑顔のお母さんか、恐ろしくて。









………………心底、怖かった。









無意識に、私の視線が下を向く。







落ち着け。





何度も、そう、繰り返す。




「ねぇ、茉莉ちゃん?」


「………っ、な、何?」




高鳴る鼓動。







何を聞かれるのか。





お母さんに言われるのかが、怖かった。








強張る広角を、どうにか上げてた私は、恐怖心を覆い隠して、取り繕うように笑う。






何て、滑稽。






それでも、バレてはいけない。






この、胸の内を。






知られてはいけないのだと、幼い私の、それが自分を守る為の防衛本能だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る