第47話

なんとも言えない沈黙。

全員がマユミちゃんに注目していた。


「まだ…わからない」


最悪の展開? まさか…という空気が流れた。


「でも…」


会場にいた全員がはっとした。


「私でよければ、友達から前向きにお願いします」


その瞬間、あまりの緊張のせいか、ハジメがギターを握り締めたまま倒れかけた。

急いでメンバーでハジメを支えた。


シンがマユミちゃんをステージに上げた。

恥ずかしそうに2人はステージに並んだ。


『おめでとう』


会場からは、割れんばかりの拍手。

シンたちの演出は、奇跡的に大成功した。


最高のクリスマス・ライブのフィナーレとなった。

とても清々しいクリスマス・ライブだった。


ライブも告白も大成功だった。

シンは初ライブ以来、ライブが終わったあとはいつもユウだけを待っていた。


今夜はクリスマスイブだ。ユウとの約束の場所へ…。


「待ったぁ? なかなか出て来れなくて」


「気にしないで。行こうか」


「うん」


クリスマスの夜、チャリにニケツして2人は向かった。

吐く息は白く、すさまじく寒い夜だった。


到着して振り返ると、そこには綺麗なクリスマスツリーが見えた。


何を話すわけでもなく、2人で手をしっかりと握り合いながら、ツリーを眺めていた。


「何年先も、またこの場所に来ようね」


ユウがギュッと手に力を入れた。


「そうだな、何年先も…」


寒いなか、2人でじっとツリーを見つめた。


白い橋、ディズニーランド、クリスマスツリー…。


この1年、ユウとたくさんの思い出の場所ができた。


きっとこれからも、ユウと作っていく素敵な思い出。


いつまでもこうしていられると、まったく疑うことはなかった。


どんな悩みも、ユウがいてくれれば乗り越えられる。

シンは幸せをかみ締めていた。

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