結成

第21話

思い立ったら即行動。

しかし、いざやると決めてもどうしていいかわからなかった。

どうしたらバンドを組めるのか、シンは授業中もボーッと考えていた。


「なぁショウタ、バンドってなにすりゃできるんだ?」


「そりゃあまず、メンバーだろ?」


「そうだよな。でもどうやって集めようか?」


そんなとき、ハジメが寄ってきた。


「どうした、シン。バンドやるの?」


「そうだけど…」


「俺、ギターできるよ」


「まじで? ハジメにそんな特技あったのかよ」


「まぁねぇ。それにうちの学年で何人か楽器やってるやつがいるから、誘ってみようぜ」


ハジメに言われるまま、4クラスしかない教室を回ることになった。


シンが通う中学は5つの小学校から生徒が集まって来ていることもあり、2学期の終わりぐらいではまだまだ知らない顔はたくさんいた。

学校に半分しか来ていないシンならなおさらだった。

最初のクラスに到着した。


そこにいたのは、かなりガタイのいい男だった。


「なぁカツヤ、お前ドラムやってたよな?」


ハジメが馴(な)れ馴(な)れしく話しかけた。


「あぁ、兄貴のドラム借りてちょこっとな。それがどうした?」


「あのさぁ、今シンとバンドやろうと思ってメンバー探してるんだよ」


カツヤはシンを上から睨んだ。

シンも負けじと、下から睨み返した。


「お前、族とかやってたやつだろ? 真面目にやるのかよ」


カツヤは、さらに上からシンを睨んだ。


「やるからには中途半端にはやらねぇよ」


シンも下から睨み返した。

その2人の迫力に、ハジメは脇で何も言えずにいた。


すると、カツヤはいきなりニヤリとした。


「さすがに気合い入ってるなぁ。いいよ、俺もやりたかったしさ」


シンはその言葉にホッとした。


「よろしくな」


カツヤとシンはがっちり握手をした。そんな2人の脇で、ハジメはわけもわからずキョトンとしていた。


「なら次の休み時間にさぁ、一緒に回らねぇか?」


「いいけど」


「コウジってギターのやつと、ベースのマサフミってのがいるんだけどさ、俺が一緒にやろうって言ってたやつらだからさ」


さっきのいかつい顔とは打って変わって、ニコニコしながら話していた。


「本当か? そりゃあ助かる。よろしく頼むよ」


シンも笑顔で答えた。

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