第15話

この1件で、2人が先輩にいちゃもんをつけられることはなくなった。

「危ないやつらだ」という噂はさらに広まったが、もう気にならなくなっていた。


恥ずかしいぐらいに、マンガのような青春を送っていた。


「シン、この勢いでアタマのところに行こうか?」


「そうだな、カズさんどこにいるかな?」


「まぁゆっくり探すべ」


「それもそうだな」


2人は、族のみんながいつもいる場所を、ひとつひとつ回って行った。

ゲーセン、コンビニ、駅…そして、残るは公園だけになった。


「ここしかねぇべ、ショウタ?」


「…行きますか」


2人はチャリを置き、ゆっくりと公園のなかに入って行った。

そこには、さっきの先輩とは比べ物にならないぐらい迫力ある人たちがいた。


仲間のときはよかったが、やめるとなると、かなり怖かった。

足は震え、どんな声を出しているのかもわからなくなっていた。


「ちわぁっす」


2人して頭を下げた。

すると、奥からアタマであるカズさんが出て来た。


「どうした、中1コンビ、今日は集会じゃないし。おっ、暇なんか?」


2人はうつむいて何も話さなかった。

いや、ビビッてしまい、話せなかったのだ。


「んっ? どうした? なんかあるんなら話してみろ」


シンはゆっくりと話し始めた。


「…カズさん、その…、俺たち…族やめたいんです」


震える声で、シンはやっと言葉にした。

すると、カズさんの表情が変わった。


「そうかぁ…お前らみたいな中坊入れるのは迷ったんだけどな。いたのは2、3カ月でも決まりは決まりだ、覚悟はできてんのか?」


『はい』


2人で返事をした。


「わかった」


カズさんはゆっくりと仲間に合図をした。


全員が2人を見た。

次の瞬間、全員が2人に向かって来た。


後はよく覚えていない。ただ、メチャクチャ痛かったのだけは覚えている。

終わった頃には、2人ともボロボロだった。


そして、カズさんが寄ってきた。


「俺は、お前らが好きだったんだけどな。まぁ自分たちで決めたことだ、頑張れよ」


『はい』と返事をするだけで、2人とも精一杯だった。

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