第14話
ビクビクしながら、なんとか1時間目の授業が終わった休み時間のことである。
「シン、ショウタ、久しぶり。元気してたか?」
小学校から仲がよかったハジメだった。
「おぅ」
なんて言ってカッコつけてみたが、内心はすごく嬉しかった。
ハジメの一言が、2人をクラスに馴染(なじ)ませてくれた。
心のなかでは、無視されたらどうしようとかイジメられたらどうしようと思っていたなんて、悪ぶっていた2人はとても言えなかった。
しかし…安心したのも束(つか)の間(ま)、2人は昼休みに先輩に呼び出しをくらった。
「放課後、待ってるからな」
先輩はそう言って教室に戻って行った。
正直ビビりまくっていたが、逃げるわけにはいかなかった。
放課後、2人は指定された場所に向かった。
着いたとたんに、3年の先輩に囲まれた。
シンはレスリング、ショウタは野球をやっていて喧嘩は強かったが、さすがに先輩に囲まれると怖かった。
「ショウタ、さすがに怖いな」
「だなぁ」
「でも、きっと族やめるよりは怖くねぇよな」
「それもそうだ」
2人の周りには、10人ぐらいの先輩たちが集まっていた。
どこの学校にも、こういう悪ぶったやつらはいるもんだ。
「ビビんねぇでよく来たな。お前ら1年のくせに生意気なんだよ」
お決まりの文句だった。
マンガでも、もう少し気の利いたことを言うだろうに。
シンとショウタは、思わず顔を見合わせて、軽く笑ってしまった。
なんとなく、恐怖と緊張が抜けた。
2人とも、『ビー・バップ・ハイスクール』が大好きだった。
頭のなかはビー・バップ。先輩の笑える言葉で火がついた。
「ごたごた言ってんじゃねぇぞコラ、こちとら久々に学校来てルンルンなんだよ。わかります? セーンパーイ」
「シン、マジ、ビー・バップだよ、ウケる」
「だろう?」
その後、2人は近くにあったデッキブラシをもって突っ込んで行った。
先輩も多分、ビビらせるのが目的だったのだろう。
2人でデッキブラシをブンブン振り回して、何発か当たったときには勝負がついていた。
気がつくと、先輩たちはいなくなってしまった。
「まさしくビー・バップ、俺たちは最強だ」
ショウタが叫んだ。
「恥ずかしいこと叫ぶなよ」
2人で大声で笑った。
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