学校

第13話

次の朝、ショウタがシンを迎えに来た。

久々に学校のジャージを着て。

学校は、シンの家から坂を上ってすぐのところにあった。


登校時間ぎりぎりに、2人してうつむいたまま坂を上って行った。

久々の登校は、すさまじいプレッシャーだった。きっと、ショウタも同じ気持ちだったと思う。


学校に着くと、2人の担任であるシゲさんが立っていた。


「どうした? 久しぶりだなぁ。よく来た、早く教室に行け」


「あいよ」


シンは軽く相槌(あいづち)をうった。


教室にはすでに全員が座っていた。視線が2人に集中した。

教室を見渡すと、さっきまで騒いでいたクラスのやつらが黙り込んだ。


窓際に綺麗に並んだ机。それが2人の席だった。

内心は、机なんてもうないんじゃないかと不安だった。


黙って席に座った2人は、そろって腕を組み、じっとしていた。


周りをビビらせたいわけじゃなかった。

ただ、どうしていいかわからなかったのだ。

クラスのやつらも気まずかっただろうけど、シンたち2人は、それにも増してビクビクしていた。


教室に入ってきたシゲさんは、シンたちのほうを見てニッコリとした。


何ごともなかったかのような、それまでと変わらないいつもの朝の光景だった。


なんとなく安心した。


先生を殴ってグレ、族に入り、かなりやばいやつになっている…休んでいるあいだに、2人についての噂はどんどん大きくなっていたようだった。


そのせいもあり、みんなかなり2人を恐れていたらしい。


根っからのヤンキーではないシンとショウタは、実際はそんなに危ないやつではなかった。


少しのあいだ学校に行かなくなり、そのままなんとなく行きづらくなっていただけなのだ。

暇を潰すために族に入り、悪ぶってみた。ただそれだけ。


何かきっかけか、後押ししてくれるものがほしかった。そのとき現れたのがユウだったのだ。

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