第12話

「いやぁ、シンやるなぁ、びっくりしたぜ。でも本当にやめるのか?」


「おぅ、別にやりたくてやってるわけじゃねぇしな」


「きっと大変だぜ? 入ったばっかりでいきなりやめるなんてさ」


「でもよ、なんとなくでやってるぐらいなら、今やめるべきだろ。いいチャンスだよ」


「そっか、なら俺もだな。いつも一緒だろ、親友よ」


シンとショウタは、なんとなく清々(すがすが)しい気持ちで帰って行った。


たしかに、族をやめるのは大変だと聞いている。怖かったけど、このままズルズルやっているよりはマシだと思った。


シンの家に着いた2人は、髪を真っ黒に染めた。


「明日は久しぶりに学校でも行きますか」


ショウタがシンの肩を叩(たた)いた。


「そうだなぁ」


ユウとの出会いで、シンは少しずつだが変わり始めていた。

ショウタもそれに呼応するように、変わっていった。


その晩、シンはユウと付き合うことになった、ということを思い返し、布団のなかでずっとにやけていた。

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