第11話
「いやぁその…あれだ、その…」
シンはなんだか気恥ずかしくなってしまった。
「おぅい、ユウちゃんにシン、ジュース買って来たぞ」
絶妙なタイミングで、ショウタが帰って来た。
「あぁあ、もう少しでシンの気持ち聞けたのになぁ」
「え? なになに? 俺なんかしちゃった?」
「気にしないで、ショウタ君。ねっ? シン」
「おぅ」
少し残念だったけど、なんとなく助かった気もした。
この後、3人でジュースを飲みながら話をしていたが、ユウのことをさらに意識するようになってしまった。
シンは、ユウの顔をまともに見られなくなった。
「あっ、もうこんな時間、私帰らなきゃ。シン、ショウタ君、今日は会いに来てくれてありがとう」
「おぅ、暇だしいつでも来るぜ。まかしときな、なぁシン?」
「別に会いに来たわけじゃねぇよ」
「まぁだ言ってるよ、こいつ」
「それでも嬉しいよ、ありがとう」
ユウは自転車に乗り、こぎ始めた。
「じゃぁねぇ」
シンとショウタは、立ち上がって見送った。
と、急にシンが大声で叫んだ。
「ユウゥゥゥ、よかったら俺と付き合わないか?」
隣でショウタがびっくりしていた。
シンの言葉に反応して、ユウは急いで戻って来た。
「付き合ってくださいでしょ?」
「イヤか?」
「私でいいの?」
「いいか悪いか、聞いてんだけど?」
「…いいよ」
2人して、顔を真っ赤にしていた。
「たまにはやるなぁ、シン」
ショウタが、満面の笑みで肩を抱いてきた。
「俺が証人だ。よかったなぁ。いきなりチューは気まずいから握手だな」
2人して顔を見合わせて、がっちり握手をした。
「ねぇシン、いきなりだけど付き合うなら約束してほしいことがあるの。いい?」
「…なんだよ?」
「その似合わない坊主の金髪はやめて、学校にはちゃんと行って。それと、できれば暴走族なんてやめてほしい。いきなりであつかましいかな?」
「…わかったよ」
ユウはにっこり笑った。
「じゃあ、今度はちゃんと電話してね?」
「わかったよ」
今度はしっかりバイバイした。
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