再開

第9話

「お疲れさまでしたぁ」


辺りもすっかり暗くなり、部活を終えた生徒が続々と体育館から出て来た。

シンは必死にユウの姿を探していた。


ユウは、最後のほうに友達と一緒に出て来た。


「シン、出て来たぞ。どうする?」


「わかってる。ここじゃまずいだろ」


シンは立ち上がり、脇のフェンスを乗り越え校門のほうに向かった。


「ここなら出て来るのがわかるだろ?」


「そうだな、どうする? 俺は隠れてようか?」


「んっ? いいよ、一緒にいて」


本音を言うと、1人では心細かった。

実際に会ったら、ユウはどう思うんだろう? 迷惑かな?

不安と期待が入り混じっていた。


しばらくして、ユウが校門から出てきた。


「シン、行けよほら」


シンは今にも破裂(はれつ)しそうな気持ちを必死に隠して、ユウのもとへ向かった。


「ユウ」

ユウはシンのほうへ振り向いた。


「あれ? シンじゃん」


ユウは友達に軽くバイバイをして、シンのほうへかけてきた。


「なにしてるの? こんなとこで」


「あぁ、ショウタと遊びに来てたんだよ。それでたまたま思い出して寄ってみたんだよ」


嘘ではないが…ユウに会いに来たとは口が裂(さ)けても言えなかった。


「ふぅん、素直に会いに来たって言えばかわいいのに」


「んなわけねぇだろ。なんでわざわざお前に会いに来なきゃいけねんだよ」


図星をつかれたシンは、慌(あわ)てて否定してしまった。


「まぁいいけど、この後はどうするの?」


「ん? とくに予定はないよ。帰るだけ」


「そう。ならそこに公園あるから少し話さない? 私も暇だし、いいでしょ?」


「どうすっかなぁ」


すると後ろからショウタの声が聞こえてきた。


「いいじゃんかよ。行こうぜ公園。ねっ、ユウちゃん?」


「さすが。じゃ決まりね、行こう」


3人で公園で話すことになった。別に何を話したわけでもなく、初めて会ったときのように馬鹿話をしていた。


「あっ、シンにユウちゃん、俺コンビニに行って来るよ」


1時間くらいたった頃だろうか。ショウタが気を使ってくれたのか、自然にユウと2人きりになってしまった。


さっきまで3人であんなに話をしていたのに、2人とも黙ってしまった。

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