第3話

自販機のそばには、コンビニから出て、数人で話している他校の中学生がいた。


この当時、シンは坊主の金髪に眉毛は剃りこみ。

同年代から見ればかなりおっかなそうな印象だった。


学校からも浮き始め、昔から仲がよかった友達もシンの周りから離れて行った。


だが、この日だけは違っていた。


その中学生たちも、シンから目をそらしていた。

シンもそんなことには慣れていたし、なんとも思わなかった。


コンビニから避けるように去って行った中学生のなかで、たった1人、シンを睨(にら)みつけている女の子がいた。


髪は黒いセミロング、真面目でおとなしそうな印象だった。

「なに見てんだよ、ぶさいくが。どけや」


シンは自分を睨みつける女の子に向かって、ガンをつけた。


「ガキがタバコなんか吸って、いきがってんじゃないわよ」


シンは呆気(あっけ)にとられた。今のシンに、まさかこんな真面目そうな子が言い返してくるとは思ってもいなかったからだ。


「てめぇ何様だ? おめぇもガキだろうが」


思わず、シンはムキになってしまった。


「頭金髪にして、タバコ吸ってか弱い女の子に食ってかかって、カッコ悪ぅ。まぁ、私はこれから部活の練習試合だから、あんたみたいな馬鹿とは付き合ってられないから。じゃあね」


女の子はそう言うと、先に行った友達のところへ走って行ってしまった。


「ちょ、ちょ待てやぁ」


シンの精一杯の叫びだった。


「なんだあのやろう」


強がりしか出ず、シンはショウタのもとへ戻って行った。

ショウタは一部始終を見ていたらしく、半笑いでシンに話しかけてきた。


「シン、どうした? なんかおもろいことになってたなぁ」

「おもろかねぇよ! なんなんだよ、あのぶさいく女。まじムカつく」

「そうカッカすんなよ。一服すんべ? ほれ、タバコかして」


シンはイライラしながらも、ショウタと一緒にタバコに火をつけた。

それでも、あまり気分は晴れなかった。


「なんなんだよ、あのクソ女」


シンはその日一日中ぼやいていた。なんだかわからないが、さっきのクソ女が気になって仕方がなかった。

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