出会い

第2話

クソ暑い夏も終わりに近づいて、少しずつ街並みも紅葉に染まってきた…この物語はそんな季節から始まる。


田舎と都会の狭間で育った1人のクソガキ。


それがこの物語の主人公だ。


世間では、幼稚園を受験するなんて話が騒(さわ)がれ始めていた。

でも、そんなのはテレビのなかの話。



当たり前のように小さい頃から見慣れた顔のなか、なんの違和感ももたず、のほほんとこの町で生きてきた。


シンは、そんな田舎育ちの普通のクソガキだ。


小学生の頃はレスリングに打ち込み、それなりの成績を収めた。


中学に入り、なぜかテニス部に入る。しかし、入ってすぐにカッとなり先生へ鉄拳。即、退部となってしまった。


シンは、今まで何かしらスポーツに打ち込んでいた。しかし、ちょうどこの事件を境に夏休みに入ったこともあったのだろう。


人並みにグレ出すことになる。


自分よりも上の学年とも付き合うようになり、地元の暴走族に入るのにさほど時間はかからなかった。


夏休みを過ぎた頃には、シンは立派な田舎ヤンキーへと変貌していた。


まともに学校にも行かず、駅の脇にあるコンビニにたむろして過ごす時間が増えていた。


希望なんてもとからない。今日が楽しければそれでよかった。


シンはその日も相変わらず、コンビニの前に座り込んでいた。

いつもつるんでいるショウタと一緒に。


「なぁショウタ、なんかおもしれぇことねぇ? つまんねぇなぁ」


タバコをふかしながらシンは毎日、同じ言葉を繰り返していた。


「まっ楽しいことがあんなら、こんなとこにはいねぇやな、はぁあ」


スポーツをやめ、ただ暇(ひま)だからなんとなくなったヤンキー。"族"に入っても結局は何も変わらず、心にぽっかりと穴が開いたまんまだった。


普通のレールから外れても、結局世界は何も変わらなかった。


「はぁあ」


深いため息が、シンを包んでいた。


「ショウタ、タバコ切れたから買ってくらぁ」

「あっ、俺のも頼むわ」


シンは、いつもタバコを買う自販機に向かった。

まさか、そこにシンの人生を変えるほどの出会いがあるとは思いもしなかった。

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