1st Season

第1話

今でも思い出す。


忘れようと逃げた日もあった。


幼かったからこそ、純粋に誰かを愛せたこと。


どこにでもあるような人生を送って、

どこにでもあるような恋愛をして、

どこにでもいるようなありふれた大人になって、


…それでいいと思っていた。


きっとそんな未来が待っていると、心のなかで思っていた中学時代。


たったひとつの出会いが、こんなにも素敵な気持ちと、こんなにも切ない気持ちをくれるなんて思ってもいなかった。


あれから8年が過ぎた。


今の自分があるのもきっと…運命なんてカッコいいものじゃないけれど…きっと、君に出会ったからだと思う。


君の記憶に蓋(ふた)をして、背を向け続けた8年間。

でも…今は胸を張って言える。


君との思い出をここに記して、僕は前に進んで行こうと思う。


「また会いたくて」

今でもたまに思うことがあるけれど、それは恋心ではない。


「ありがとう」


君に会ってそう言いたい。


この話をどこかで君が見ているならば、成長した僕を見てほしい。

うつむき、逃げてばかりの僕はもういない。

前を向いて歩いているよ。

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