第59話





【関東地方の探索者スレ5】


501 名無しの探索者

……最近、異常種の発生はもちろん、ダンジョンの発生も増えてね?


502 名無しの探索者

桐生が対応してないからだな

神崎は拒否してるとか聞いたけど、あいつマジか?


503 名無しの探索者

あー、神崎の断った話な

ガチだよ

俺が参加したダンジョン攻略も、もとは神崎が受ける予定だったらしい


504 名無しの探索者

この前天草が赤崎市の問題解決してたけど、それって神崎何もしてないってことじゃね?


505 名無しの探索者

神崎がやりたくない発言してるのもあちこちで取り上げられてるよな

この前、サボったあげくにパンケーキ食ってるところ撮られてたし


506 名無しの探索者

それ見たわ

マジふざけてるわ、あの女

力があるんだから義務を果たせよ、マジで


507 名無しの探索者

こいつ、自分の容姿がいいってことで男食いまくりって話もあるぞ?

なんか協会職員とも関係を持ってるとかいって免除されてる疑惑あり

マジで調子乗ってんじゃねぇの?


508 名無しの探索者

それ聞いたことあるわ

美人で男を手玉に取ってるとか言われてたけど、それガチだったのかよ


509 名無しの探索者

つか、神崎の顔って整形疑惑あるだろ?

美人なのは分かるけど、あの鼻とかどう見てもいじってるだろ


510 名無しの探索者

整形かどうかは知らんけど、確かにあざとい感じだよな

わざとらしい仕草多いし、昔から嫌いだったわ


511 名無しの探索者

探索者の仕事って命懸けなんだからさ、見た目だけで人気取るのやめてほしいよな

天草の陰に隠れてたけど、こいつもやばい

俺たちの税金で育ててもらってんだから、日本に恩返ししろよまじで……


512 名無しの探索者

てか、神崎の信者たちもマジできもい

Sランク探索者でも、仕事を選ぶ権利があるとか擁護してるけどさ

そこはSランクなんだから選ぶなよ、って言いたいわ


513 名無しの探索者

断られるたびに現場で混乱してんだから、いい加減なんとかしろよ協会も


514 名無しの探索者

神崎がここまで言われてるのって、あの協会でのやりとりの録音だろ?

なんか、Sランク探索者じゃなくてもいいとかわがまま言ってたし……協会がくそなのはそうだけど、こいつも普通にクソだよな

それ、被害を受けてる人たちにも言えるのかって言いたい


515 名無しの探索者

協会も無能だけど、神崎の対応見てるとそれ以前の問題だわ

こいつ責任感なさすぎだろ


516 名無しの探索者

つか、最近神崎が全然ダンジョン入ってないって噂あったけどマジなん?


517 名無しの探索者

神崎がサボってる間に異常種で被害出てるんだが

力があるならちゃんと使えよ、マジで


518 名無しの探索者

神崎って結局、力はそこそこだけど覚悟がないんだろ

協会としては、これ以上Sランク探索者を減らせないから、神崎のわがままも容認するんだろうけど……


519 名無しの探索者

神崎は信者のオタクどもがキモいのもある

あの見た目に騙されている弱者男性の取り巻きがマジでキモい


520 名無しの探索者

神崎の見た目に釣られてるだけのやつ多すぎて草


521 名無しの探索者

美人で得してる典型だよな

ほんと、仕事しないで擁護されてんの美人だからだろ


522 名無しの探索者

桐生が休んでる今、神崎が動かなかったらマジで終わるんだけどな

それすら理解してない時点でお察し

責任感皆無のゴミくそ女


523 名無しの探索者

天草降格が協会のせい←わかる

天草がSランク復帰拒否←まあわかる

神崎がダンジョン攻略拒否←は?

今の日本の状況を考えろよマジで


524 名無しの探索者

まじで日本の若者はやばいわ

昔はもっと勤勉だったのになぁ

いつからこんな軟弱者ばっかりになったんだろうな


525 名無しの探索者

桐生も天草もいない今、頼れるの神崎だけなんだからさ……

サボってんなよマジで


526 名無しの探索者

マジで最近の若者はすぐ権利だなんだ主張するからキモすんぎ


 翌日、凛はダンジョンの前に立っていた。学校には休みの申請を通し、ダンジョンへと向かっていたのだ。

 仕事を断ったあとが怖く、嫌でも足を踏み出さなければならない。

 多少の疲労感は残っていたが、それでも凛は攻略へと向かっていた。

 ダンジョン内は、薄暗い空間が続いていた。湿った空気と低い唸り声が、凛の耳をざわつかせる。


「……くるっ」


 突如として現れた魔物、ヘル種のオーガ。

 その巨体が、鈍い音を立てて斧を振り下ろしてくる。凛はぎりぎりでかわし、刀を構えた。

 今回のダンジョンは、難易度が高く、魔石五つ持ちの魔物も出てくることがあった。

 それでも、凛もSランク探索者として日々成長している。

 勝てない相手ではない。


「……はぁ、はぁ……」


 一つ、問題があるとすれば、疲れが体を蝕んでいることだった。

 連続でのダンジョン攻略による疲労。

 それとは別に睡眠不足も災いして、動きにいつものキレがない。

 睡眠不足の原因は、ネットの批判だ。

 必死に眠ろうと目を閉じても、ネットの書き込みが頭の中に浮かんで消えなかった。


「ガアアア!」


 ヘルオーガが突っ込んできて、氷の異能を使おうとした瞬間だった。

 凛は即座に異能が発動できなかった。


「……っ!」


 慌てて攻撃をかわしてから、氷の壁を展開する。

 振り下ろされた斧を、なんとか氷の壁で受け止める。

 だが、異能の発動が鈍く、壁がひび割れていく。


「……はああ!」


 凛が叫び、刀を振り抜いた。

 力を込めた一閃によってヘルオーガを切り裂いた凛だったが、肩で息をし、刀を支えに呼吸する。


「……もう、やだ……こんなの……」


 嘆きを呟きながら、ゆっくりと体を起こす。

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