第4話
※10/14 3話の内容が2話と被っていました。
現在は訂正されています。
申し訳ございませんでした。
☆
私という人間にとって「彼」という存在は「身近な日常」の象徴だった。
ずっと隣にいてくれたから、だからそこにいる事が普通だと思っていて。
だからそれがとても当たり前の事だと思っていて、それがどんな事よりも奇跡的であるのかなんて、気づく事が出来もしなかった。
一緒に笑って一緒に泣いて。
私達は、沢山の奇跡を共にした。
そんな、当たり前の事を気づかされたという一点だけは、きっと「あれ」には感謝するべきなのだろう。
過ぎ去ってしまった「あれ」はきっと私達にとって何かしら重要な傷跡を残した。
そして、私にとってそれは、当たり前の「奇跡」なのだ。
□
あの日の出来事から数日が経過した――なんて唐突に時間が経つなんて事はなく、まだ普通に時間はその日である。
ただまあ、気づいたら時間は放課後にまでなっていたという事は事実であり、そして今になってようやく理性を取り戻し正気に戻る事が出来たとも言える。
それくらい、あの時にあった「それ」は衝撃的だった。
……いや、普通に考えるのならば圧倒的に「タイムリープ」を経験する方が明らかに衝撃的な非日常なのは間違いないけれども、「それ」はある意味日常的な出来事だったからこそ俺にとっては信じ難かった。
四人の女の子からの告白。
それを現実的かと言われれば、まあ非現実的であるとは思う。
しかし起こりえるかと言われれば起こりえるかもしれないし、実際ああして起きたのだから現実を受け入れなくてはならない。
俺は、あの四人から「好き」だと伝えられた。
うん、それは凄く嬉しい事だと思う。
ただ決定的な「何か」が欠けているからこそ、俺はそれを今すぐには受け入れ難かったのだ。
つまり――根拠がない。
確かに俺はあの四人とは仲が良い。
それこそタイムリープで何とかして命を助け出そうと奮闘する程度には命を懸けられるし、多分四人の為なら俺は死ねると思う。
しかしそれは俺の一方的な思いであり、彼女達にとって俺という存在はそこまで重要かと問われれば多分「普通」と答えられると思う。
その程度の存在だと思っているけど、どうやら彼女達からは好意を向けられているらしい。
そして重要なのは、四人は四人同時に告白をする事を受け入れている――あるいはその事を意図的に計画していたような感じであるという事だ。
そうでなければあのように一緒に告白はしてこないだろう。
それは――どういう事なのだろうか?
普通に考えてメリットがなさそうなのだけど、いや、それ以上に客観的な目線で語るのならば「自分の好きな人が誰かにとっても好きな人である」ならばまず同時に告白しようとは思わないと思う。
これは一体、どういう事なのだろう?
何が、起きているのだろうか。
「ねえ、侑くん」
と、そこで。
「今日、ちょっと二人きりで帰らないかな」
まことが話しかけてくる。
どうやら、もしかしたらここで俺の疑問に対する答えを得られるかもしれないようだ。
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