第6話・ついに登場! 妄想母性百合女【牛刀 マシュマロ】夕夏の百合度が加速します

 その夜──会社帰りの夕夏は由比に誘われた、新規のバーで飲んでいた。

 緩やかな音楽が店内に流れるバーのカウンター席に座って、アルコールを飲んでいる夕夏に由比が言った。

「ずいぶんと、百合に馴染んできたんじゃない」

「馴染んだなんて言わないで」

 由比に連れてこられた、このバーは男性お断りの百合専門バーだった。


 バーテンダーは魅力的な百合女性で、お客もすべて百合。

 夕夏は少しほろ酔い気分で店内を見回す。

 店内では、知人に連れてこられたらしい。少し戸惑い気味のノンケの成人女性が百合からキスを迫られていた。

 少し奥の薄暗い席では二人の百合女性が抱き合って互いの体を愛撫しながら、濃厚な百合キスをしていた。

 目のやり場に困る夕夏。

 以前の夕夏だったら「とんでもない、場所に連れてこられてしまった」と後悔していたが、次々と現れる変態百合女たちに翻弄ほんろうされて、肉体関係を結ばされた(?)夕夏の感覚は麻痺していた。


(こんな人前で、よく堂々と百合行為ができるなぁ)

 そう思いながら、飲んでいた夕夏の前に女性バーテンダーが、一杯の白色のカクテルを差し出して言った。


「ショートカクテルの『ホワイト・リリー』です。ドライ・ジンとラム酒、ホワイト・キュラソーに、アブサンで香りづけをしました……あちらのお客さまからです」

 バーテンダーが示した先のカウンター席に座った、巨乳の女性がにこやかに手を振っていた。

 胸の谷間が見える服装で、◇型に大きく露出させた女性に、夕夏は軽く会釈する。

(大きな胸……まるで牛)

 爆乳の女性は、由比と夕夏の方に近づいて来ると、最初に由比と会話した。

「久しぶりね由比、そちらの方は……お友だち?」

「ご無沙汰しています、夕夏に紹介するね。この人は『牛刀うしがたな マシュマロ』さん、この店のオーナーで結構なお金持ちよ」


「お金持ちだなんて……ビーチ付きの無人島を一つ所有しているだけよ──あといろいろなリゾート施設の運用もやっていて、バンガローと併設したキャンプ場とか、夕夏のフルネームは?」

 ホワイト・リリーのグラスを持って夕夏が言った。

「乙女坂 夕夏です……カクテルありがとうございます」

「ふふふっ、遠慮しないで飲んで夕夏のために、特別に作ってもらったカクテルだから……カクテル言葉は『純潔』」

(カクテル言葉? 花言葉みたいなモノ?)


 夕夏は白いカクテルを一気に飲み干した。

 途端に意識が薄れ、カウンターに顔を伏せて眠りに落ちる。

 薄れていく意識の中で、マシュマロ女史の。

「普通のホワイト・リリーはアルコール度数が三十五度なんだけれど……特別に度数が濃いホワイト・リリーを作ってもらったから……ふふふっ、これから夕夏の体を自由にできるかと思うと、興奮してきた」

 

  ◇◇◇◇◇◇


 次に夕夏の意識が戻った時──夕夏は柔らかいモノに顔を埋めている自分に気づいた。

(あっ……なんか、少し頭痛い……柔らかくて温かい、なにコレ……懐かしい感覚)

 夕夏の耳に牛刀 マシュマロの、おっとりとした声が聞こえてきた。

「目が覚めた夕夏ちゃん、ここはバーの奥にある特別な部屋……あなたは、アルコール度数が強いカクテルを飲んで意識を失ったから、あたしが介抱しているのよ……ふふふっ」


 顔を上げた夕夏は小山のような乳房と、その向こう側から微笑んでいるマシュマロの顔を見た。

 上体を起こした夕夏は、裸の女同士で抱き合っていたと気づく。


「これって、普通の介抱じゃないですよね……服を脱がされて、裸で抱き合う介抱なんてないですよね」

「そうねぇ、夕夏ちゃん……あたしは母性の聖母、さぁもっと聖母のオッパイを飲みなさい」

 夕夏はマシュマロのような柔らかい胸に顔を押さえつけられる。

「うぷっぷぷぷっ」

 自然と夕夏の口は、マシュマロの乳首を吸う形になった。

 甘い香りと懐かしい体液が、夕夏の口の中に流れ込んできた。

(母乳? この人の胸から母乳が出ている)

 牛刀 マシュマロは、日頃から母乳が出る薬を服用していた。


 母乳を飲まされている夕夏に、マシュマロが恍惚とした表情で言った。

「赤ちゃんみたいに、いっぱいお乳を飲みなさ~い。夕夏ちゃんはあたしの赤ちゃんになったのよ」

 夕夏に授乳させている母性百合のマシュマロが、夕夏の頭を撫でながら言った。


「うふふふっ、あたしのオッパイ美味しい?  意識を失っている時に無意識に母乳を飲んでいた時の夕夏ちゃん。可愛かったわぁ……夕夏ちゃんは、もう純潔じゃなくなったのよぅ」

 マシュマロの言葉に我に返った夕夏は、顔を上げて震える。


「純潔じゃなくなったって……お酒で意識を失っていた、あたしの体に何をしたんですか!」

「ふふふっ、素敵なコトをいっぱい」


 慌ててマシュマロから離れた夕夏は、たたんであった下着と衣服を着衣して、部屋から飛び出して行った。

 出ていく時に、背後からマシュマロの声で。

「もうすぐ、お花見の時期だから……招待状を夕夏ちゃんにも送るわねぇ、桜の花が満開の屋敷に来てねぇ……待っているわぁ」

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