第9話 誰?
「は?今なんと?」
属性の変換を習得し、両親に再び呼び出された俺は理解できない言葉に思わず聞き返してしまう。
「お前には後継者教育を受けて貰う。ブラスト家の長子として」
長子?
後継者?
言っている意味が全く分からない。
――何故なら俺は三男だからだ。
「お前が戸惑うのも無理はない。だが安心しろ。属性が遺伝しない事は長い歴史によって証明されている。だから属性を隠し続けてさえいれば、お前の子供が闇属性になる心配はない」
いや、闇属の継承云々はこの際どうでもいい。
何故なら、いずれ俺は世界を手に入れるからだ。
そうなれば後継者の属性がどうこうなど、気にする必要はなくなる。
それよりも今俺が気になるのは、上二人の兄弟だ?
まさか死んでいるのか?
本来両親ごと死ぬはず外遊で、実は兄二人だけが死んだ……いや、そんな大きな事件があったならクソバスが俺に報告していたはずだ。
だからその可能性はない。
「弟達には、お前は病気の療養で長らく屋敷を離れていたと説明してある。お前の属性の事を知っているのは、私達と執事長の三人だけだ。これはこの男爵家と、お前の命がかかった機密である事を肝に銘じておけ」
「弟達……ですか?」
誰だよそれ?
俺が閉じ込められてる間にできた事か?
そうだったとしても、回帰前にそんな奴らいなかったぞ。
「ガイツとタスクの事だ。まさか忘れた訳ではないだろうな」
いやいやいや。
ガイツは長男で。
タスクは思いっきり次男お名前なんだが?
いったいどういう事だ?
まさか父が俺を担いでいるって事もないだろうし、本格的に俺の知っている過去と違
ってきてるんだが……
今の状況は味不明極まりない。
いや、冷静に考えると、エスペランサーが現れたあたりからもう既に意味不明だった。
急に表れて。
急に俺を殺して。
そしてその後何故か過去に回帰して。
しかも見知らぬ時間の流れである。
……何がどうなってるのかは分からない事だらけな以上、慎重に動いた方がよさそうだな。
考えても答えは出ない。
だからと言って、自らの目標を変えるつもりも更々なかった。
世界征服は必ず成し遂げてみせる。
そう、イレギュラーだらけであってもそれだけは変わらないのだ。
だが、不明な状況を力押しで進めるのは余りにもリスクが高すぎる。
なので、可能な限り慎重に進めていく。
密かに、そう、密かに世界征服の為の下地を固めていくのだ。
勿論、その中にはエスペランサーへの復讐も含めまれているぞ。
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