コンビニで休憩
「我が友よ、ガソリンはどうだ?」
永犬丸統志郎がそう心配した。
八峡義弥は逆に永犬丸統志郎の心配をする。
「お前は疲れないのか?」
「ボクは大丈夫さ、この程度の距離と速度、息が切れる事も無い」
八峡義弥は後ろを振り向く。
猿鳴形が滑走する様に走っている。
肉体の九割がカラクリな猿鳴形は脚部を換装させてローラー付きの移動部位を装着していた。
八峡義弥が片手を離して猿鳴形を呼ぶ様に手を振った。
「どうした、やかい」
舌足らずな猿鳴がそう声を発し、八峡の隣に並走する。
「サルちゃん、疲れてねぇか?」
「おれはだいじょうぶだ、やかいはだいじょうぶか?」
「俺は大丈夫だけど、もうすぐ七時だろ?近くのコンビニ寄って休憩しようぜ」
八峡義弥がそう提案する。
「了解した、我が友、前に出て幽霊遣いにも話しておこう」
そう言うと永犬丸統志郎が加速して前に行く。
八峡たちは近くのコンビニで小休憩をする事にした。
コンビニでアイスやカップラーメンを購入する八峡。
外に出て光り輝く太陽に目を眩ませる。
「あっちー、カップ麺買ったのは失敗だったかぁ?」
そう言いながらコンビニの裏で座りラーメンの出来を待つ。
その間にアイスに手を付ける八峡。
次々とコンビニから仲間が出てくると、合図するワケでも無く、円陣になる様に座り込んだ。
「我が友はカップラーメンか」
「お前はからあげかよ」
「このコンビニのからあげが美味しいんだ」
紙の袋に入ったからあげをつまようじで一つ突き刺して口に運ぶ。
猿鳴形は炭酸水を購入しており、それをストローで差して飲んでいる。
「遠賀、お前煙草だけか?」
「朝食は摂らない主義だ」
煙草に火を点して紫煙を吐く遠賀。
未成年でありながら煙草を吸うのは彼なりの流儀だった。
「
「じゃあ八時までには到着する感じか、うっし、時間通り、いただきまーす」
八峡義弥はカップラーメンの蓋を取ると割り箸を割ってラーメンを啜る。
「やかい、うまいか?」
「あ?んだよサルちゃん」
「もの欲しそうな目をしやがって」
言いながらも八峡義弥がカップラーメンを猿鳴の方へ向けて渡した。
「あんま食うなよ」
「いただきます……ずず」
「いや麺じゃなくて汁の方かよ」
「ん、この新味、刺激がある」
永犬丸がスパイシーカレー味と書かれたからあげを食べて目を丸くした。
「あ、マジ?一個くれよ」
「ん、ほら、我が友」
永犬丸統志郎がからあげをつまようじで指して、八峡に唐揚げをむける。
八峡が口を開くと、永犬丸統志郎がからあげを食べさせた。
「ん、あ、マジだ美味い」
「…ってかカレーの塊みたいなんだけど、これ」
「ずず」
「サルちゃぁん、何時まで飲んでんだよ、おら、返せ、汁無くなるだろ」
「ん?おいおい、チャリで
遠賀が道路を見ながら言った。
八峡がその自転車を爆走している様を見ると。
「あ?あれ愁じゃねぇかよ、マジで自転車で来たのか」
「ほう、あの距離を自転車で、
「おぉい!愁ッ!こっちだぁ!!」
八峡が声を荒げると、界守愁が気が付いた様子だ。
汗だくになりながらタンクトップ一枚で疾走していた界守愁はコンビニにて合流した。
8時頃。
八峡義弥たちは贄波璃々が持つ別荘地へと到着した。
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