第29話

私の言葉に赤メッシュが睨んでくる。



「おい、“あんなの”とか言ってんじゃねぇよ」


「だってやだもん」


「俺の方がやだわ。つか言い方ってもんがあんだろ」



めんどくさいなあー、もう。



「…じゃあなんて言えば良かったの」


「あ?…普通に名前でいいだろうが」


「いや、無理でしょ。知らない名前をどうやって呼ぶの。ていうかもういい──」


「「「は…?」」」



え、なに。


赤メッシュと焦げ茶とミルクティー色が間抜けな顔して私を見る。


金髪はこっちに視線を送るだけ。



「ちょ、待って。“知らない名前”って、もしかして俺らの名前知らなかったり…?」



焦げ茶が確かめるように私に問う。



「うん。知らない」

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