第7話

「璃星」


怠い体と、気持ちの悪い胃を押さえて、何とかシャワーを浴びると、ドライヤーを片手に私を呼んだ。


本当、神は二物を与えずなんて誰が言い出したんだろう。


二物どころじゃ無いぐらい与えてると思うな。


芹のいる大きすぎるソファーまで歩いて、ちょこんと座ると、スイッチを入れて、私の髪を乾かしてくれた。


さすが、ここは高級スイートルーム。


置いてある家具家電もきっとお高い。


耳元でも不快にならないドライヤーの音に、感動を覚える。


髪を梳いて、軽く頭皮に感じる芹の指の感触が気持ちよくて、私は目を閉じた。


私の髪はショートボブだから、一瞬で乾いてしまう。


それがいつももどかしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る