第6話

実際、今はネックレスに通してる指輪は、私が大学に入学する頃に渡されたものだ。


夜景の見える、素敵なホテルの屋上で、膝をついてプロポーズしてくれた。


それは女性なら誰しも憧れるであろうシチュエーションで。


「受け取ってくれないとここで飛び降りるね」って脅し…じゃなくて、脅迫(何も変わらない)されて。


最近になって気づいたことがもう一つある。


穏やかで優しい物腰で誰にでも接する芹は、老若男女問わず人気がある。けど、


時たま見せる他人への深い暴力性と、私への異常なまでの執着。


そしてこの面を見せるのは、私だけ。

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