第10話 子羊のように終わる。
しばらくすると、夜が明けて、雨が止みました。
降り注いだ大雨で、虹の国は無事救われました。
小高い丘にぽつんとひとり、虹の国のお姫さまが佇んでいます。
お姫さまの目には、もう虹の国がみえません。
すぐ後ろの山からは、朝陽が静かに顔を出してきました。
お姫さまは、昨日レコーディングするはずだった『キラレボ』を口ずさんでいます。
メロディは調子がはずれ、リズムはバラバラ。体力も衰えているから、すぐに呼吸も疲れてしまいます。
それでもお姫さまは、笑っていました。
故郷に帰れないのは、少しさみしいけど、それでも笑っていました。
それから彼女はゆっくりと故郷に背中を向け、地上へと歩き出します。
故郷のあった場所には、代わりにきれいな虹が架かっているのでした。
虹の国のお姫様【イリアムライバー『虹渡友利』設定】 雨宮崎 @ayatakanomori
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