第7話 今度こそ巨大蛇

「お前たち、よくここまでたどりついたな」


 山の頂上にはお姫さまの身長の何倍もある、白い体の赤い目をした巨大ヘビが待ちかまえていました。


「守り神のヘビ、虹の国が大変なの。お願い、雨を降らせて!」


ヘビは地響きのような低い声で、


「いいだろう。しかしひとつ条件がある。お前の才能をひとつ、我に差し出すのだ」

と、言い放ちました。


「なんでもいいわ。それで虹の国が助かるなら」


「では、お前の歌の才能をよこせ」


 するとぼんどりが、

「それはだめだ!おい、巨大ヘビ、お姫さまは国のアイドルなんだぞ!そんな姫さまから歌を奪うなんてあんまりじゃないか!今度出るニューシングルは、国民のみんな楽しみにしてるんだぞ!」


 しかしお姫さまは、

「いいの、ぼんどり。これでみんなが助かるんなら」


「姫さま、もうすこし考えてください!いまからみんなで話し合って、じっくり対策を練れば」


「そんな暇はないわ!虹の国は、明日にも滅びるかもしれないのよ!」


 お姫さまとぼんどりがそうやり取りしていると、


「どうするんだ、歌を差し出すのか、それともこのまま帰るのか?」

ヘビは表情を変えずに、枯れたような声でそう聞いてきました。


「いいえ、帰らないわ。あなたに歌の才能をあげる。だから、虹の国に雨を降らせて」


そしてお姫さまは指をパチンと鳴らし、歌の才能をヘビに差し出しました。


直後、ヘビはその巨大な体を空高く伸ばし、夜空に響き渡るように歌いました。

ヘビの声に反応するかのように、次々と空に雨雲が集まってきます。


しばらくするとぽたぽたと静かに雨が降り、やがて大粒の水滴が地面をたたき始めました。


「さぁ、これで約束は果たした。お前は早く国に帰るといい」


「お姫さま、早く帰りましょう!」


 二人は急いで来た道を戻るのでした。











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