第4話 山の蛇

『お母さん、虹の国の王さまはハゲてるんだね!』


『それはもう、立派にハゲてるわよ。きっと虹の光に照らされ続けたせいね』


『まるで、お母さんにいつもお金をくれるおじさんみたいだね』


『次にその話をお父さんの前でしたら、あなたもこの絵本のお姫さまみたいにするからね』


『もう2度と言いません。すみません』





「お姫さま、あれが守り神の巨大蛇が住んでいる山ですよ!」


 そう言ったのは、王宮で飼っている喋り鳥、『ぼんどり』でした。


「いやー、お姫さまに追いつけるのが、鳥の僕しかいなかったもので。それにしてもお姫さまは足が速い。それにものすごい体力」


「あら、ぼんどり。あなたも来てくれたのね」


「ええ。けど、お姫さまのその強靭な足なら、あっという間に山の頂上まで着いてしまいますな」


「そうね。でも、いそぎましょ」


どことなくあせった様子のお姫さま。

短く息をはき、軽く走り出したかと思ったら、それからものすごいスピードで山道を駆け上っていきます。

ぼんどりはついていくのがやっとでした。


すると、とある架け橋にたどり着きました。

木でできた、丈夫で立派な橋で看板に『自由のつり橋』と書いてありました。その橋の真ん中に、1羽のダチョウが座り込んでいます。


「いやー、まいりましたよ。足が折れてしまって。早く家族のところに帰らないと、群れからはぐれてしまいますね。どうしましょう、ハハハ」


ダチョウはとくに表情を変えずに、陽気な笑い声をあげています。


「なにのんきなことを言っているの。ほら、わたしが治してあげるから」


「あ、もしかしてあなたは虹の国のお姫さま!?」


 お姫さまは指をパチンと鳴らすと、ダチョウの足はみるみる元気になっていきました。

「す、すごい!足が動く!ありがとうございます、お姫さま」


「いいのよ。はやく家族に会えるといいわね」


ダチョウは嬉しそうに走り出していきました。


「あれ、お姫さま?我々は、国の外に出たら魔法は使えないはずじゃ?」


「ぼんどり、今のは魔法じゃないわ」


「え、ま、まさか!」


ぼんどりは恐ろしい事実に気づいてしまいます。



















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る