1:50『???』


「あっ、あっ、あっ」


 かなり酔ってるからだと思う。



「ああっ」


 かなり久しぶりのセックスだからだと思う。



――でも。



「あっ、また――」


 未だかつてないってくらいの快感に溺れてる最大の要因は、相手が上手いからだと思う。



 あたしもそんなに経験人数が多い訳じゃないけど多少はある訳で。



 そりゃ過去の男の中には、何となく上手いなって思う人はいた。



 でもそういう人って、所謂「前戯」が上手かった。



 正確に言うと、指とか舌の動かし方が上手かった。



 女の性感帯の知識とそれなりの経験値があったら、それなりに上手くは出来るんだろうなって程度。



 けど、この人は違う。



 挿入してからも気持ちイイ。



 体の相性が合うとかっていう、本当にあんのか分かんないものからくる気持ちよさじゃない。



 まず、腰の動かし方が気持ちイイ。



 当たる場所が気持ちイイ。



 ナカだけの話じゃなくて、外側の当たる場所。



 どんな腰の動かし方したらソレに当たんのって不思議で仕方ない。



 ナカを突き上げるたびに、あたしの大きく膨らんでるであろう、割れ目の上部にある突起に、この人の体の一部が当たる。



 何度も何度も当たって、ナカからもソトからも刺激を与えられて、もう訳が分かんないくらい気持ちイイ。



 その上。



「気持ちイイ?」


 言葉攻めまでしてくるから、思考までトロトロになってくる。



 言葉攻めって言ったって、オラオラ系の、こっちが引きまくるようなやつじゃない。



「可愛いよ」


 少し息の乱れた、甘い声での、心が満たされるような言葉で攻められる。



 セックスしてる時に「可愛い」なんて今まで誰も言ってくれなかったのに、今日だけで何回「可愛い」って言われただろう。



 言われる毎に、感度が増す気がする。



 だから。



「可愛いな」


 気持ちイイ腰の動きと共に発せられる、何度目かのその言葉で、幾度目かの絶頂の波が押し寄せてきた。



「イ、ク――」


 切れ切れになる言葉を紡いだ直後、絶頂を迎えて体が小さく戦慄いた。



 頭の中は真っ白。



 膣のナカはグチョグチョ。



 自分が自分じゃないみたい。



 自己制御不能って感じ。



 だから、今まで言った事がないような事も言えっちゃったんだと思う。



 あたしが体を戦慄かせた途端に動きを止めて、これでもかってくらいに強く抱きしめてくれたこの人の。



「落ち着くまでこうしててあげる」


 過去のどの男にも掛けられた事がない、その優しい言葉に。



「も、もっと――もっとシて」


 大胆な欲求を口にしてしまった。



「いいの? 大丈夫?」


「んっ」


「無理するなよ?」


「んっ」


「じゃあ、動くよ」


「は、早く――ああッ」


 再び与えられた快感を体全部で受け止めた。



 もっと、もっと、もっと――。



 自分でもどうしちゃったのって不思議に思うくらい、ただただ快感を貪った。

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