第33話

同じ部署の人から連絡先の交換をしてから、みんなはよく連絡をくれるようになった。お昼休憩の時間にも何人かからは【今どこにいるの?】【誰かといる?】と言った内容のものがくる。私は基本、お昼は莉子ちゃんと食堂で過ごしていることが多いため、そのように返信すれば【そっか! 村上さんとゆっくりね!】と返事が返ってくる。


 なんだか、過保護な感じがするような気もするけれど、それを莉子ちゃんに言ったら「人徳人徳」と言われて終わってしまった。


 よくわからないなと思いながらも私は自分で作ってきたお弁当をもぐもぐと食べていると、突然、隣にどかりと誰かが座ってきたことに驚く。



「よ! 日向さん、食べてる?」


「ま、前田さん……?」


「よ、村上! お前はあいお変わらずの大食いだな?」


「そんなに食べてなでしょ!? うっさいわね、前田!」


「……え、と……知り合い?」


「違うわよ。最近なんかよくからんでくるから自然とこんな感じになっちゃっただけ。大体部署が違うんだから知り合いのわけないでしょ。同じ部署ないざ知らず」


「あ、そっか……前田さんは私と同じだもんね……」


「……あー。地味に傷つくな、それ……」


「え?」


「なんでもない」


「ざまぁ」


「……村上、てめ……」



 そんな2人の会話を聞きながら、私はすでにお腹いっぱいになってきたなと思い、お弁当をしまおうとする。と。



「……日向さん、それ、食べたって言わない」


「え?」


「せめてもうちょっと食べない? もうちょっと」


「でも、もうお腹いっぱいですし……」


「少ない。絶対に少ない。せっかく自分で作ってきているんだから、そのぐらいは食べてもバチは当たらないと思うよ?」


「……まあ、そうなんですが……」


「紬。それはあたしも思う。最近ちょっと食が細くなりすぎよ。ストレスでっていうのはわかるけど、もう少し食べないと体力持たなくなってまた前みたいに倒れることになるわよ?」


「う……っ」



 流石にあんな風に倒れるのはもうごめん被りたい。どれだけの人に迷惑をかけてしまったことか……!



「周りに迷惑がかかるってわかっているのなら、ちゃんと食べて、体力をつけなさい、紬」


「……わかった」



 そう言って、私はしまおうとしていたお弁当をもう一度広げて、結構無理にお腹に詰め込んだのだった。


 流石に吐くまでは食べられないため、ギブアップはしてしまったけれど、食べられなかった分は毎度のことながら莉子ちゃんがしっかりと食べてくれたのだった。


 隣でそれを見ていた前田さん「俺にもちょうだい!」と言っていたけれど、莉子ちゃんが「あげるわけないでしょ」と言い、残っていたものを一気に口の中に詰め込んでしまったため、前田さんが悲鳴を上げていたけれど、莉子ちゃんは何食わぬ顔で私に空になったお弁当を突きつけてきたため、ちょっと申し訳ないと思い、次の時には何か作ってきますから、といえば、「本当に!?」と元気に回復したのでよしと思おう。

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