第18話

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 残っている仕事に手をつけて、私は帰りにどうやって帰ろうかと悩んだ。結局、そこそこな時間が経っていたらしく、既に私たちのお昼休憩はほとんどなく、お弁当を食べることも叶わなかった。まぁ、あんな話をされた後に呑気に食べられるほど、私はまだ精神的に壊れてはいない。


 けれど、だからこそ、仕事に没頭しないと、苦しくて仕方がないとも思った。


 そういう時こそ、仕事は早く終わってしまい、私は退勤時間ぴったりに職場を出ることができてしまう。


 ……このまま表から出て仕舞えば、きっと、林さんに見つかるだろう。あんな不躾なメッセージを送ってしまったし、愛さんにも本当に申し訳ないことをしてしまった。



(……やっぱり、私は幸せになんてなれないのかな……)



 そう考えてしまうほど、私はどうやら今は精神的に参っているらしい。


 自分でも知らないうちに林さんや愛さんにもたれ掛かっていたらしい。本当に、申し訳ないことをしてしまったと思う。


 私が関われば関わるほど、周りの人に迷惑がかかってしまう。そのように操作される。そして、その洗脳というべき誤解を私は解除できた試しが一度もない。



「……ああ、またスマホを新しくしないといけない……ギリギリ更新があったから、まだマシかな……」



 ひどい時は、買い替えて一週間で叩き壊れたこともある。流石にサポートに入っていたけれど、自分でも驚くぐらい修理にはお世話になっていると自覚もしている。


 きっと、修理してくれている人たちには覚えられているレベルで修理をしているから、もう、修理依頼を出すことに抵抗も無くなって来てしまった。


 いっときはスマホを持つことをやめようかなと考えたこともあったけれど、それを莉子ちゃんに言ったら流石にダメと言われた。私と連絡先を交換してくれるのは莉子ちゃんぐらいだったし、後のもう二人は、私の両親の連絡先である。


 いつも、私のスマホにはその三人のアドレスしか存在しない。


 けれど、それが心の支えになっている部分もあった。


 自分の手でやったこととはいえ、やっぱり辛いものは辛いのだなと改めて実感する。


 と、気づかないうちに、既に駅ホームに立っていたことを自覚して、私は一応、まだあのマンションに帰らなければならないという義務を持っているんだと思う。


 そもそも、帰りだけの送りをされても、正直困るな、と思ったのも事実だ。


 こうして一人の時間が削られてしまうわけだから、これでよかったのだと自分にいいからかせながら、電車に揺られて目的地に帰っていく。

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