第6話

「え?付き合ってくれ?」


 学校である男子佼生に校舎裏へと呼び出された清水は驚いた。


 「そう、いいかい?」


 その男子生徒が訊いた。


 「で、でも私アイドルなの。アイドルは恋愛禁止でしょ?」


 清水が応じた。


 「引退すればいいじゃないか、どうせ不人気だろ?」


 バチーン。


 校舎裏に頬を打つ音が響き渡った。


 「今からでも人気は出るわ!」


 「おー、いちち。でもあの様子じゃだめだって」


 頬をさする彼の頬をもう一度打とうと清水は再度手を振り上げた。 


 がしっ。


 男子生徒は清水のその手首をがっちりとつかんでいた。


 「俺と付き合ってくれたらな・・・」




 プロダクションにて。


 「いけませんね、すべてのアイドルが相であるようにうちに在籍するアイドルたちも恋愛はご法度です」


 プロデューサーがそういった。


 「でも彼、大会社の息子でね。付き合ったら私たちのスポンサーになるっていうの」


 「スポンサー?」


 確かに有名になりたがっているシミアンズにとってはそれは魅力的なことだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る